氷の愛

 

決して云わぬと固い契り



春風通り過ぎたとて

夏の陽射しに射ぬかれたとて

秋空記憶を葬らんとて

 

凍らせたままの吾と君

溶けて消えるるはずもなく

 

約束違えたその瞬間(とき)に

氷の愛は

はじけて消えむ

吹雪ととも


白くにごった天空に

この身ひとつ吸い込まれむ

 

怨まずにおくものか

怨まねばならむ

お前も

子らも


それが己の本性(すがた)なれど

氷の愛のひとかけら

わが身つんざき

散り散りに

 

せめて

生きながらえよと

涙落つ

 

 

 

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2002/3/2
関越トンネルを抜けた吹雪の夜の高速は、
そこに、まるであの雪女が漂うかのごとき
妖しげな、幻想的な光景を私に想像させた。

「あの日見た光景は決して云わぬ」と誓った夫が
はるかなる年月を経て、約束をたがえた。
すでに二人には、子どももいて
ごく平凡な幸せな家庭が築かれていたのに
その掟を破ったがために彼女は、愛を砕いた。