粗忽の釘(宿替え)

江戸落語では、「粗忽の釘」上方では、「宿替え」と言うそうです。
初めて聞いたのが、故枝雀師匠の噺で、身振り手振り顔の表情が
未だに鮮明に残っています。
粗忽ものの金魚には、やはり、憎めぬこの亭主。。。

ある粗忽者の男が引っ越しをすることになるのですが、
どこへ越していくのか忘れてしまい、引っ越し先の長屋に着いたのはなんと夕方。

女房に「ほうきを横にしておくともめ事が絶えないから、
釘を一本打っとくれ」と頼まれた亭主は釘を打つのですが、
六寸もある瓦釘をことも有ろうに壁へ打ち込んでしまいます。
「お隣に釘の先が出てて、着物を破いたりケガをしたりするといけないから」と
女房に言われ、粗忽な亭主は謝りに行くのですが、向かいの家に出向いてしまう
という粗忽ぶり。
やっと隣家について、引っ越しの挨拶をしているうちに
すっかり釘のことを忘れて、世間話やら自分と女房のなれそめののろけ話やら、
おしゃべりに興じて釘のことはどこへやら。
 ようやく、釘のことを思い出し調べてみると、
なんと隣家の仏壇を突き抜け、阿弥陀仏の頭上に釘が出ているではないですか!
はてさて、どこまで粗忽モノやら?