客のいない床屋。
ここなら早くやってくれるだろうと、男が飛び込んだ。
親方が、
”まず桶の水で、頭を湿せ。”
と、言うので、桶を覗くとボウフラが わいている。
苦情を言うと、
”柄杓で桶の縁を叩くとボウフラが沈むから、上水をすくえ。”
何とか頭を湿し、席につき剃刀をあてる段になると、
親方は小僧に向かい、
”さぁ、生き物をやってみろ。”
と、怖がる客を無視して、小僧にやらせる。
あまり客が痛がるので、親方が見てみると、
”こりゃあ下駄の歯を削ったヤツだ。
切れすぎるくらいのを使わないで、
人の頭が出来るか。”
そのうちに近所の犬がやってきて、追っ払っても逃げない。
”この前、はずみで剃り落とした客の耳を
コイツが食っちまってね。
それ以来、犬が人間の耳を欲しがっていけねぇ。
どうだい、お前さんの耳を犬にやるかい?”
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小僧が剃刀で客の頭を切ってしまい、
客 ”冗談じゃねぇ、どのくらい切った。”
親方 ”なぁに、縫うほどじゃねぇ。”
というサゲもある。
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