<牛誉め>

金魚は女与太郎なのです。
語っているうちに他人事ではない気がしてまいります。

「馬鹿だ、馬鹿だ」と言われている与太郎を
何とか一人前の物言いができるようにさせようと、
おとっつあんは、親戚のおじさんが新築した家を
誉めてこいと命じます。
口移しでセリフを練習させるのですが、
何しろ、天性の馬鹿ですから、
どうもまともな文句になりません。
業を煮やしたおとっつあん、誉め言葉を紙にしたためると
「おじさんに気づかれねえように、これを読め」と
懐に入れさせて、送り出します。
さておじさんの家について、
おじさんの家を誉めようとする与太郎ですが
口を開けば、とんちんかんなことを言って、
うまくいきません。
そこで、思い出したのが
おとっつあんが、紙に書いてくれた言葉。
おじさんに気づかれないようにと、読み上げるのですが、
「なんでまだ見てない所まで誉めてんだ」
とこれまた、そそうをしでかします。
そこで奥の手とばかりに、おじさんが気にしている、
台所の柱の節穴のことを話題にし、
「ここに火伏せの御札をはれば、穴が隠れて、火の用心」と、
さも得意げにおとっつあんに言われた通りのことをいうと、
今度は、大当たり!すっかりおじさんは感心してしまい
「馬鹿」の汚名返上となりまして、
めでたく小遣いをもらってくるのでした。
これに味をしめた与太郎、
今度は牛乳やのおじさんのところへ行くことにします。
牛を誉めれば、小遣いがもらえると、もくろむのです。
またしても紙に書いてあった通りに誉めるのですが、
やっぱりうまくいきません。
そこで、機転を利かせたつもりの与太郎、
牛の尻の穴を見て思わず
「ここに、火伏せの御札をおはんなさい」
「なんで?」と、問われると
「穴が隠れて、屁の用心」とな。
おあとがよろしいようで・・・