9/7 vol.1

*魔法の鏡*

バンドを組んでいた学生時代、
始めてコンサートのステージで唄った歌だ。

恋をする女の子なら誰でも「魔法の鏡」を手に入れたいと思う。
好きな人が、今どこでどうしているのか、
すべてこの鏡に映してみたい。
ただ、映して楽しむだけではない。
ユーミンはそんな消極的なマスターベーションの世界では
満足してはいない。

あなたがもしもブルーにしているなら、
偶然そうに電話をしてあげる。
ジャストタイミングで、しかもさりげなく恋人を元気づけられたら
きっとポイントが高いに違いない。
しっかりとその先の演出をも、鏡に描いているのである。
「まちぶせ」の2番の歌詞には、
気のないそぶりをして仲間に加わるという演出がなされている。
つまり、相手に悟られずに、ごく自然に、
そして着実に相手に近づく。それがユーミン流の演出。
恋の成就は、一方的に待っていてもかなえられるものではない。
こちらがシナリオを書いて、
それにうまく相手を乗せられるかどうかなのだ。

さびの部分のフレーズは独特だ。
‘さい・ご・の’という部分は、
それまでには触れたことのなかった
特徴あるメロディーラインのユーミン節で、
妙に耳に残ってしまった。
こんな独特のメロディーラインだからこそ
歌詞がしっかりと生きてきて、ハートに届くのではないだろうか。