5/17 vol.10

*ダウンタウンボウイ*

ワタシが生れ育った所は、荒川放水路のすぐそばのいわゆる下町。
ほとんどの友達が、庭などなかった住環境で、
路地裏とか空き地とか、土手が、一番の遊び場だった。
今の子供たちのように、習い事とか塾とかに追われることもなく
みんなが、学校から帰ると、どこからともなく集まってきたものだ。
いろんな年代がひとかたまりになって、
いわゆるガキ大将を中心に、遊びが展開されるのだ。

ワタシと仲がよかったA君は、同級生の男の子。
ガキ大将ではなかったけど、
やんちゃで、すばしっこくて、いつも面白いことをしでかしては
みんなを笑わせていた。
それに、やさしい所があって、
鬼ごっこをやると、なかなか鬼から抜け出せないワタシに
わざと、捕まえられて代ってくれた。

でも、時にはガキ大将よりも、
みんなの注目を浴びることがあって
マークされていた。
みんなが知らない時に呼び出されて、泣かされたこともあった。
涙のあとが残っているのを不思議に思って
聞いてみたが、「ごみがはいっただけだよ」とごまかしていた。
でも、ある時偶然に、A君が、
ガキ大将にこづかれている現場を見てしまったのだ。
ワタシは、ドキドキしながら、
大声を出して助けてあげたかったけど
恐くて、勇気がでなかった。

そんなA君が突然、越していく日がきて
みんなとっても寂しそうだった。
わたしに「さよなら」を告げにきた時に、
思い切っていった。
「しってたんだ。あいつに空き地の裏でやられてたの。
誰か呼ぼうと思ったんだけど・・・ごめんね。」
すると彼は、
「やられてないよ。遊んでただけだよ。
それに、悪いやつじゃないんだよ、あいつ。
‘殴ってごめん’っていってくれたし、
大事にしてるビーダマくれたんだ」
そういってにこっと笑って去っていった。

「ダウンタウンボーイ」を聴いていると
そんな幼いころの情景を想い出してしまう。
勝ち気な瞳
でもやさしさを秘めていた。
恋とか愛とかには程遠いけど
A君は、ワタシにとって、初めてのボーイフレンドだったかもしれない。

今あったらお互いに分かるかなあ?・・・・
でも・・・あってみたい。