5・31vol.12

*不思議な体験*

アルバム「ボイジャー」に収録されている曲で、
CMでも使われたと思う。

よく幽体離脱とか臨死体験なんていう特集を
テレビのワイドショウ等でやってたりする。
だいぶいんちき臭いなあなんて気もするが
ただ、わたしもたった一度だけ
それに近い体験をしたことがある。

もうずいぶん前になるが、
ある手術をした時のことだ。

午前10時10分。覚悟を決めて手術台に上がった私、
麻酔とともに時計の文字盤がぼんやりと
かすんできて・・・

次の瞬間、なぜか寝そべったままの姿勢で
紫色の光の狭く長いトンネルを
まるでジェットゴースターのように
(いやおそらくもっとずっと速い速度で)
何かに吸い込まれるように走り抜けていた。
どのくらいの時間だったかは分からないが、
すごく長かったような気もするし、ほんの一瞬のこと
だったような気もする。

気がつくと、
そこは地球ではなく、はるか遠くかなたの
宇宙空間だった。
なんにんかの人と
(それはすごく親しい人のようでもあるが、
顔や名前などは分からない)
とても楽しく話をしていた。
ことばは覚えてはいないのだが
「地球での生活はとても楽しかったね」
というようなことだった。
すこぶる気分がよかった。
この上なく幸せな気持ちだった。

そして、又次の瞬間、
異様な感覚に襲われた。
体がバラバラになっていくような・・・
自分の手足がどこにあるのだろうか
まったくわからなくなった。

耳元で女の人の声がした。
「ほらしっかり歩いて!」
頭がガンガンして、何がなんだかわからない。
ほっぺたをたたかれているような感じだが
別段、いたくもないし、感触も無い。
突然、視界に私の足が映った。
「あ、わたしの足だ
なんで足がここにあるんだろう?」
又、耳元で、女の人が、
「ちゃんと立って!」
次に手が映った。
よく見ると2人の女の人がわたしを抱きかかえている。

「私、手と足だけになっちゃたのかなあ?」
なんて変なことを考えてるうちに
突然意識が戻ってきた。
「何だ、頭もあるし、胸もお尻もついてたじゃない・・・」
自分の体が徐々に戻った気がして、
だんだんどこにいるかがはっきりとしてきた。

「そうか、わたし手術を受けようとしてたんだっけ?
じゃあ、これからかしら?・・・」

女の人たちは、白衣を着ている。
看護婦さんだ。
「さ、しばらく、こっちのベッドで休んでいてね」
というといってしまった。

「おかしいなあ?・・・手術はいつするのかしら?
せっかく手術台に乗ったばかりなのに」
と、なにげに時計を見ると、午後2時を過ぎていた。
「え?・・・さっき10時10分だったでしょ?
どういうこと?・・・」
何がなんだかさっぱりわからない。
意識を失ったとか、
眠っていたとかいう感覚が無いのだ。
まるでその4時間がすっぽりと
切り取られてしまったような・・・

確かに自分は
さっき手術台に乗ったのだ。
これから手術を受けるはずなのだ。
でも、待てよ、
そういえば、どこか違う空間に行っていたような・・・
だけどそれはほんの一瞬ではなかったか?
あれは夢とかじゃない気がする。
夢から覚めた時の感じとはぜんぜん違うのだ。

急に全身の感覚が戻ってきた。
お腹のあたりがかすかにいたい。
じゃあ、手術はすんでしまったのか?

しばらくするとさっきの看護婦さんがやってきて
「もうすぐ麻酔が完全にきれますから、
痛くなったら呼んでください。」

どうやら、終わったようだ。
どうしても4時間がたったとは思えなかった。
しかし、そっとお腹のあたりに手をやってみて
確かにそれは行われたことがわかった。

こんな話は、きっと誰も信じてくれないだろうな
と思ってずっと自分の胸にしまっておいたのだが、
ある時、図書館で、臨死体験者の本を
見つけ、読んでいるうちにぞっとなった。
それは全部外人の体験談集だったのだが、
全く私が体験したのと同じような体験を持つ人が
いたのだ。
紫色の光のトンネル
猛スピードで吸い込まれる感じ。
地球ではないどこかの空間。
それらは、私の体験と共通していた。

もしかして
わたしはその瞬間、
地球上での生を離れていたのかしら?
あるいは、ずーーと未来の自分へ
ワープしていたのかもしれない。
理屈ではとても説明がつかないのだが
確かにわたしは、違う所に行ってきたのだ。

ユーミンのこの曲を聞くたびに
あの不思議な体験のことが想い起こされる。