| 10/11 vol14 *ハルジョオン・ヒメジョオン*
アルバム「紅雀」に収録されている曲。
土手は、私にとって最も広い遊び場だった。
草花を摘んでは、首飾りや冠を作って遊んだし、
ちょうちょもとんぼもたくさん捕まえた。
友達と一緒に、駆けずり回って遊んでは、
遊びつかれると、しばらく土手にあがってぼんやりと
対岸の景色を眺めていたものだ。
夕方になると、朱色の空の中に、遠くの山々
家並や工場のエントツ、木々の梢がきれいなシルエットになって
浮かび上がってくる。
だんだんに空は色を変えて、闇色に近くなり、
やがてくっきりとしていたシルエットも
輪郭がぼやけてくる。
そんな変化を子供心にも、美しいと感じ、つい暗くなるまで
見入ってしまったものだ。
今では、その土手のわきに高速道路ができてしまい、
あのころ見た景色は、きっともう様変わりをして
同じ光景ではありえないと思うのだが、
私の心の中にはしっかりと焼き付いている。
この歌では、ヒロインは土手の夕暮れの中の幼い恋を描き、
ヒメジョオンにうもれてくちづけをするその時の
風の香り、川面の揺れる様子、そして
あでやかな夕暮色を心に焼き付けるのだが、
時を経て同じ場所に立った時、
相手の顔も、おそらく名前も忘れてしまっている自分に気づく。
ヒメジョオンの花のかわいらしさと
夕陽の哀しいまでの紅さ、切り絵のような対岸の景色に、
幼いころの光景が蘇り
ノスタルジックな思いにかられる。
何もかもがあのころのままなのに
自分だけが変わってしまった。
でも・・・大人になっていくためには、こうしてひとつひとつの
記憶を葬り去り、そして少しずつ新しい自分に
変わっていくことなのだと・・・。
私は、残念ながら土手でのキスの体験はないのだが(^^;)
この曲を聞くと、夕陽のきれいだったあの土手を思い出し、
ぼんやりと、一緒に遊んだ幼友達たちの顔が
それこそシルエットのように浮かんでくるのだ。
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